■背中を押せば結婚するのか

 では、仮に都が望むように結婚率を上げたいのなら、どうしたらいいのか考えてみましょう。

 今回の動画は、ポテトを買うのを忘れないように店のここかしこにポテトのポスターを張ってみるというようなやり方にも見えます。ハンバーガー店にポテトがあることを知らない人がいないように、結婚が人生の選択肢にあるのを知らない人はいないはずです。そこで、ポテトの「存在」をアピールしても売上にはさほど影響がないのではないでしょうか。

 大事なのはその「魅力」を伝えることです。

 私の知人(ご年配の女性ですが)は、若くして同棲・結婚されたのですが、その理由は貧乏学生だったからだと言っていました。

「一人口は食えぬが二人口は食える、って言うでしょ。あれは本当なのよ」

 知人の言葉は重要なポイントがあると思います。つまり、モチベーションがあれば人は結婚するということです。彼らは(照れ隠しもあると思いますが)食べていく、というモチベーションで結婚したと言っています。

 ちなみに、今は逆ですよね。結婚したくてもできない理由として、マスコミでよく挙げられるのは経済的な問題です。「年収◯◯万円以上を求めるから相手が見つからない」とか、「非正規雇用だから結婚できない」とか。一人口ならフリーターでも非正規雇用でもどうにか生きていられるけど、二人口では食えない(=望む経済状態が得られない)から結婚できないとなるわけです。良くも悪くも、日本が豊かになって、結婚に対する経済的な要求水準が上がったということだと思います。

 自由に選択できるなら、人は魅力を感じることを選びます。前回の東京オリンピックのころは「結婚はするものだ」という固定観念があったのが、今は「してもしなくてもいい」という価値観に変わっています。結婚以外にも仕事や趣味やその他にも人生をかけるに値することがある現実があり、かつ新たに選択可能になった選択肢のほうが一般的には魅力的に映りやすいものです。

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心理的に期待する結婚の「効用」とは