同年4月2日には、学園側が軟弱な地盤を理由に貸付料の減額を求めてきたことに対し、同省が法務担当者への法律問題の照会文書として、「『無理に本地を借りていただくなくてもよい』と投げかけることも考えている」と、学園側に契約破棄も選択肢に入れた強気の交渉をしていたことが記述されている。これに対して同省の法務担当者は「行政府の裁量の範囲」と、法律上は問題ないと回答している。

 ところが、安倍昭恵首相夫人が同年9月5日に小学校の名誉校長に就任したころから同省の対応が変化しはじめる。同年11月には、昭恵夫人付の政府職員が財務省に問い合わせをしていたことがすでに明らかになっているが、12月には交渉内容が一変している。

 同年12月1日には、賃貸契約から売買価格の交渉に変化していて、近畿財務局は法務担当者に対して、事前に「売買価格を学校法人に提示して買受けの可否を判断させるなどの調整が必要」と書いている。

 もはや財務省は言い逃れはできない状態だ。与党からも財務省批判が出ている。参院予算委員会の石井準一・与党筆頭理事(自民党)は、「廃棄した」とされた文書が新たに提出されたことについて「委員会の権威を傷つけるもの」と批判。これまで与党は佐川氏の国会招致に否定的だったが、このまま拒否を続けられるかは見通せなくなっている。

「財務省が公表した一連の資料で佐川氏の”虚偽”答弁は明白です。森友事件で大阪地検に近畿財務局の資料は押収されているので、逃れられないと判断し、自発的に出したのでしょう。与党は昭恵夫人に飛び火しないよう、国会に佐川氏を呼び、幕引きを図るシナリオも考えているようです」(霞が関関係者)

 まもなく確定申告もスタートする。9日には、中小・零細企業の団体である全国商工団体連合会(全商連)が主催となり、財務省前への抗議が行われた。約30人が集まり、森友疑惑の解明や佐川氏の罷免を求める要請書を財務省に提出した。全商連関係者は怒りをこうあらわにする。

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佐川氏罷免を求めるデモも開催