先日旗揚げされた「日本維新の会」の「維新八策」の中には、「憲法9条」に関する記述があるという。これについて元外務省国際情報局長の孫崎亨氏は「橋下徹氏は9条を変えたいのだろう」と指摘。「右」の人間が増える政界の現状についても話した。
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憲法改正の分野には「憲法9条を変えるか否かの国民投票」という項目があります。もちろん橋下さんは9条を変えたいんでしょう。維新八策には書かれていませんが、集団的自衛権に触れたところで、「日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備」という表現もあります。中国の大国化に対しては、中国の強大な軍事力に対抗できるようなものは築きえない以上、平和的な手段を目指さないといけない。なのに、対抗できるという形で動こうとしている。これは米国が日本、韓国、フィリピン、ベトナム、豪州などを使って中国に対抗するという、その流れをくんだものです。
折しも尖閣問題のさなかですが、橋下さんが日本のトップに立てば、対中強硬路線を突っ走るでしょう。中国との摩擦、緊張感を高めて、その中で日本の防衛力を高め、米国との協調を進める。こういうシナリオではないでしょうか。
自民党の総裁選の主な候補はもう、極端に右の人ばかりですよね。石破(茂)さん、安倍(晋三)さんは確実。石原(伸晃)さんも、お父さんと同じ路線だと推定すると、右ですね。もう選択肢がなくなってしまったんですね。かつてはこういう人々は、「おもしろいかもしれないけど本流じゃない」という位置づけだった。いまや、本来あるべき選択肢がなくなってしまった。橋下さんも右、野田さんも右、本当に選択肢がない。
※週刊朝日 2012年9月28日号