■東証1部が30社でトップ
そして、市場別に見ると「東証1部」が30社(56.6%)と最多で、富士フイルムホールディングス、亀田製菓、三菱食品、東武鉄道、出版社の昭文社、ユニ・チャーム、王子ホールディングスなど。2013年ごろまではジャスダックやマザーズなどの新興市場の不正会計が目立っていたが、15年以降は東証1部の増加が大部分を占めるようになっている。
今後はどうなるのか。金融庁は2017年7月、企業と監査法人とのなれ合いを断ち、厳格な監査を促すため、監査法人を定期的に交代させる「ローテーション制度」導入について検討をスタートした。さらに、日本公認会計士協会は職業倫理に関する規則の厳格化を打ち出し、19年4から会計士は監査を請け負う企業で違法行為を発見した場合、監督官庁などへの通報が義務化される。これらの動きから、今後はさらに不正会計の開示件数は増えていくだろうと前出の松岡氏はみている。
「どんなに規則ができても、企業側の会計倫理が向上しないと絵に描いた餅になりかねない。さらに、不正や横流しを誘発する無理な営業ノルマや過度なプレッシャーを見直し、社員の働きやすい環境、風通しの良い組織を整えない限り、不適切会計が繰り返される可能性は残ります」(松岡氏)
会計士の努力やモラル頼みでなく、不正を起こさない内部告発など企業の仕組みづくりも必要だ。
(AERA dot.編集部・金城珠代)
【おわび】記事のタイトルの「旺文社」という表記は「昭文社」の間違いでした。ご指摘を受け、この部分を修正しました。関係者にご迷惑をおかけし、お詫び申し上げます。