橋下新党「日本維新の会」が旗揚げした。民主党代表選、自民党総裁選のバカさ加減から、期待は高まるばかりだが、早くも国会議員と目玉候補らの主導権争いが勃発するなど危うさが漂う。大風呂敷を広げた「維新八策」を識者はどうみるのか。白鴎大学教授(政治学)の福岡政行氏に聞いた。

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 私はかつて橋下さん得意の「ツイッター攻撃」に遭ったことがあります。だからといって、いたずらに厳しいことを言うつもりはありません。それでも「維新八策」の最終案は、酷評せざるを得ない。いろんなところから見栄えのいいスローガンを寄せ集めてきて、羅列的に並べてあるだけ。

「決定でき、責任を負う民主主義」
「日本再生のためのグレートリセット」

 言葉におぼれている感じですよね。「夜店のガラクタ市」といったところでしょうか。見かけはよくても、よく見るとガラクタ。それぞれの項目を実現するために、どうするのか。それが書かれていないし、見えてこない。

 この八策を貫く世界観とか国家観なんてないですよ。あるとすれば「目立ちたい」、AKBじゃないけども「センターに立ちたい」と。八策を貫くものがあるとすれば、そんな野心だけでしょうね。

 昔から橋下さんをウォッチしている人に言わせると、「10メートル走って、そこで何かいいことがあったら、パッと右へ。ダメならまた左へ。そんな人です」と。

 大飯原発を巡る急激な方向転換は、まさにそんな感じでしたよね。八策にも、そんな彼のキャラクターが表れている。

 東北のボランティアに行くと、ある市長が言っていましたよ。「維新八策って、震災復興のこと、何も触れてないんでしょ? それはね、やっぱりつらいですよ」って。関西の発想が抜け切れてないのでしょうか。

※週刊朝日 2012年9月28日号