さらにショッピングセンターのカートに大人が乗り込んだり、切り立つ崖の際に立っての撮影。はたまたカフェなどでオーダーした食べ物を撮影するだけでろくに手をつけないなど、危険や常識を放り出して「インスタ映え」を求める例が後を絶たない。これは「インスタ映え」の第一の危険性といえるだろう。

 こうした事例は撮影・投稿する人のモラルが問われるものだが、本稿で取り上げたいのは「インスタ映え」、そしてインスタグラムの「もうひとつの危険」についてだ。前者は撮影・投稿する本人のモラルやマナーに関する問題点だが、これから警鐘を鳴らすのは、この「インスタ映え」ブームに便乗する側に関する問題だ。

■コンテストの写真募集と著作権

 いまや国内のユーザー数が2000万人を超えたというインスタグラム(2017/10発表)。それに伴いインスタグラムを利用したキャンペーンやコンテストも多数行われている。その方法は主催者が決めたテーマに沿って撮影した写真を投稿してもらい、そこから優秀作品を選び、賞品や賞金を贈るというスタイルが一般的だ。スマートフォンで手軽に撮れる写真でできることもあり、応募者は入賞を狙って懸命に「インスタ映え」する写真を撮影し投稿する。ここまでは先に述べたような非常識な行いをしなければ何の問題もない。しかし、投稿した写真の「権利」について、大きな問題点が潜んでいることが多いのだ。

 写真を撮るということは一種の作品制作なので、そこには著作権が発生するが、それは撮影者にあり、他人が勝手にその写真を利用したり自分の作品だと主張することは禁じられている。もちろん撮影者が納得できる合意の上で、その写真の第三者による使用を許可はできるが、著作権のすべて第三者に譲渡することはできないことになっている。

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写真コンテストで行われている、権利の侵害の実例は…