娯楽の多様化の影響もあり、テレビ視聴者の平均年齢は実質的には年々上がっており、視聴率だけを考えると、テレビが日常にあり、テレビを愛し、テレビで育ったいわゆる“テレビ世代”をいかに取り込むかが重要になってくる。
端的に言えば、テレビをこよなく愛すると同時に、定年を迎えて日常生活の中でテレビ視聴する時間を多分に内含しており、人口比率の高い団塊世代、それに付随して幼い頃からテレビが身近な存在としてあった少し下の世代を中心とする“テレビ世代”の取り込みが高視聴率への近道となっており、このような傾向は今後ますます強まるだろう。
もっとも、「紅白」を放送するNHKに関しては、国民の受信料で成立しているという懐事情もあり、“今”の視聴率を気にしてばかりもいられない。
将来的な受信料確保という観点からすれば、今後長期間にわたって受信料を払ってくれるであろう若い世代こそ最も大切にしなければならないターゲットとなる。
ただでさえ、日本の人口は減少傾向にあり、受信料を払う絶対数が今後減ることは間違いなく、将来的な危機感もあるのだろう。
一部で若者に媚びていると言われる近年の「紅白」におけるアイドルや若手アーティストの重用、出場歌手の“若返り”といった傾向は、こうした実情を反映した結果とも受け取れる。
これまで以上に厳しい環境になることが予想される2018年のテレビ業界。
正月番組だけをとっても年明けからハッキリと明暗が分かれた印象だが、今年も多くの視聴者を魅了する人気番組の登場に期待したい。(三杉武)
※文中の視聴率はすべて関東地区、ビデオリサーチ調べ