「今はアパートの家賃収入が25万円くらいで、本業がそれより少し多いくらいなので、生活するには充分な額です」
そう淡々と話す声の主は、白塗りの化粧に和服姿で、「チクショー!!」と叫ぶネタでお馴染みのお笑い芸人、コウメ太夫さんだ。ネタだけでなく、最近はツイッターにおいても、毎日「チクショー!!」と叫んでいるため、さぞかし狂犬のような眼差しで待ち構えていると思いきや、お会いするなり、「今日は、あっ、どうも。あっ、どうもどうも。はぁ」
と、照れくさそうに会釈をしてくれた。普段のコウメ太夫さんは非常にシャイな方という印象だ。そんなコウメさんといえば、最近はアパートのオーナーとして安定した収入を得ながら、芸人活動をしている。あまり知られていないコウメ太夫さんの素顔に迫ってみた。
■ジャクソン太夫としてのダンスは小学生から
2013年に、神奈川県相模原市で行われた、第一回ムーンウォーク世界大会(マイケル・ジャクソンのパフォーマンスで有名なムーンウォークを競う大会)で、コウメ太夫さんは、ジャクソン太夫として登場し、見事、準優勝という快挙を成し遂げた。
「あっでも、お笑い部門で準優勝ですからね(笑)。ガチ部門というのは別にあって、僕が出たのは、お笑い要素を含んだダンスの部門ですからね」
そう謙遜して話すが、その腕前はプロ顔負けのレベルである。ご覧になっていない方は、YouTubeなどで見れば一目瞭然である。その実力や意外性が話題を呼び、最近はテレビや営業などでダンサー、ジャクソン太夫としても活動している。コウメさんが、ダンスを始めたきっかけは、かなり前に遡る。
「小学校5年生の頃に、美容院の家の友人がいて、そいつに見せてもらったのが、マイケル・ジャクソンの「スリラー」のビデオだったんです。最初に見たときは、怖かったんですよ。でも、ずっと見ていたら、なんかかっこいいな~、すごいなって思って。その日から、ビデオを見て、再生したり、逆再生したりしながら、ダンスを研究しました」
この頃が、芸人の時より一番熱心に練習した(笑)と冗談交じりに振り返る。そんな「コウメ太夫」の世間のイメージといえば、甲高い声に合わせて、ゆっくり踊りながら、「チクショー!!」と叫ぶ姿であろう。確かに踊ってはいるが、ムーンウォークのような変幻自在な動きを、小学5年生時からやっていたとは、意外である。