「憲法改正については、すでに学会幹部も二つに割れている。その状況で、過去に池田先生が否定していた9条改正に公明が賛成して、しかも国民投票で否決されるようなことになれば、公明どころか学会が真っ二つに割れてしまう。山口さんはそれだけは避けたい。連立離脱も覚悟で9条改正反対に動く可能性もある」

 公明が安倍首相と距離を取り始めたことについて、公明党元副委員長の二見伸明氏は歓迎している。二見氏は言う。

「私のもとには、安倍政権にべったりな公明を批判する学会員の声がたくさん届いています。ある熱心な信者は、選挙の応援は『ヘドが出そうだ』とまで言っていた。学会員には、安倍首相を支える政治活動ではなく、池田名誉会長の教えを守って、本来の宗教活動に集中したいという人も大勢いる」

 それでも安倍首相が9条改正をあきらめなかった場合、どうなるのか。二見氏は続ける。

「自民の議員には、学会の協力がなければ当選できない議員がたくさんいる。公明が安倍首相の改憲論に反発すれば、当然、自民議員から『公明を無視するな』という批判が高まる。安倍首相が改憲に前のめりになればなるほど、自民内の“安倍おろし”につながることになる」

 自民では早くも「9条改憲は無理かも。参院選挙の合区解消や教育無償化、緊急事態条項の創設で精一杯かも」(党関係者)という声も出ている。
 
 安倍首相ではなく、学会の声に耳を傾けることができるのか。(AERA dot.編集部・西岡千史)

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