莫大な初期投資をしてやっと売れた矢先、すぐにタレントに独立されたのでは芸能事務所も商売、上がったりである。

 芸能界全体の空気として、タレントの独立や移籍を嫌うのはこうした事情があるからだ。

 その結果、かつては多くの大物芸能人が芸能事務所から独立する際には、ケジメとして独立に向けてのある一定の準備期間、古巣のためにほぼ無償で仕事をこなしたり、内々に移籍金を支払ったりするなんてケースもあった。

 当時はそこまでしても独立するメリットが芸能人サイドにもあったわけだが、娯楽の多様化やインターネットの普及による芸能界幻想の崩壊などにより、かつてほど元気がない今の芸能界において、古巣の所属事務所から完全独立するメリットはあまりないようにも思う。

 そうした中、近年の芸能界でトレンドとなっているのが“社内独立”だ。

 所属事務所を窓口に従来どおり仕事を受け付けたり、メディア対応などを任せる一方で、自身で請け負う仕事を選別したり、自ら営業したりもできるという形態だ。

 あまり公になってはいないが某大物芸人Xが古巣の芸能事務所に籍を置きつつ、実質的にはかなり以前から“社内独立”しており、自分で仕事を選んだり、スケジュールを調整したり、テレビ番組などのギャラ交渉をしているのは業界内では広く知られている。

 もちろん、こうした“社内独立”という特権を得られるのは、それなりの人気や実績がある一部の者だけだが…。

 一部報道では、9月末に東京・大田区の池上本門寺で開催した自身の歌手デビュー15周年記念ライブは自ら企画、制作も担当したというが、柴咲社長の今後の活躍に注目したい。

 一方、山田が取締役CIOに就任した新会社「me&stars」の動向も気になるところだ。

 山田に関しては、以前からメディアのインタビューを受けた際などには事務所のスタッフやマネジャー任せでなく、自ら原稿を読み、時に筆を入れるなど自身で“原稿チェック”をすると聞いたことがある。

 山田のプロ意識やセルフプロデュース能力の高さを如実に表すエピソードであると同時に、所属事務所の方も山田に対してかなり信頼を置いているのだろう。

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