会見で笑顔を見せる希望の党代表の小池百合子・東京都知事 (c)朝日新聞社
会見で笑顔を見せる希望の党代表の小池百合子・東京都知事 (c)朝日新聞社
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 先月28日、衆議院が解散された。その3日前、安倍晋三首相が解散を表明する直前に、突如、「希望の党」結成と自らの代表就任を表明する記者会見を開き、話題をさらった小池百合子東京都知事。都民だけでなく日本中の有権者に衝撃を与え、今もなお、野党の議員を翻弄し、選挙の構図を激変させ続けている小池氏の言動について、著書『オレ様化する人たち――あなたの隣の傲慢症候群』(朝日新聞出版刊)の著者で精神科医の片田珠美さんが分析、寄稿した

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 新党「希望の党」代表の小池百合子東京都知事は、民進党の立候補予定者の公認基準として憲法改正と安保法制への姿勢を挙げ、「リベラル派は排除する」と明言した。思想・信条の違いで公認しないのは、政治家として誤っていないだろう。しかし、そこに「排除」という言葉を使うことに小池氏の傲慢さがあるように筆者の目には映る。傲慢人間にありがちな次の3つの特徴が小池氏には認められるからだ。

●自分自身の過大評価
●強い特権意識
●想像力と共感の欠如

 まず、小池氏は自分自身の経歴と人気を“過大評価”している。たしかに、女性初の防衛大臣や東京都知事などを歴任してきた華麗な経歴は素晴らしいが、「政界渡り鳥」の異名を持つほどさまざまな政党を渡り歩き、時の権力者の傍らに寄り添うことによって役職を得たように見えなくもない。それを可能にしたのは、ここぞという時の勝負勘と度胸であり、天性の勝負師と言える。

 もっとも、政治家として何かをやり遂げた実績がそれほどあるわけではない。築地市場から豊洲新市場への移転延期にしても、一層混乱を招き、東京五輪の準備にも悪影響を及ぼしたように見え、都政で実績を残したとは言いがたい。

 人気があるのも、大衆の注目と支持を集めるにはどうすればいいかを小池氏が第一に考えて行動するからだろう。また、小池氏は敵をつくって攻撃する天才であり、彼女が敵とみなす相手を容赦なく叩きのめすのを大衆が見てカタルシスを覚えることも人気の一因と考えられる。

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