まず、(1)については連日繰り広げられる「小池劇場」を、(2)と(3)については、小池氏のイメージへの強いこだわりを見ればわかるだろう。さらに、(4)についても、連日の会見を見れば明らかである。
小池氏が簡単にリセットするのも、(5)他人の助言や批判を見下す傾向があるからだろう。リセットと言えば聞こえはいいが、要するにちゃぶ台返しである。また、国政政党の代表と都知事を兼任できると主張するのも、(6)自分の能力を過信しているからだと言える。
何よりも、(7)「私の正しさはいずれ歴史か神が立証してくれる」という揺るぎない信念が、小池氏にはあるように見える。この信念は、日本初の女性宰相になるためなら何でもするという姿勢に表れているのではないだろうか。
「走りながら考える」と評される小池氏は、その実行力とスピードが高く評価されているが、裏返せば、(8)せわしなく、むこうみずで衝動的ということにほかならない。(9)と(10)については、築地市場の移転をめぐって、むしろ混乱を招いたことを振り返れば、明らかである。
このように、小池氏には「傲慢症候群」の症状がいくつも認められる。小池氏は、衆院選で過半数の候補者を擁立し、政権交代を目指す考えを示したが、「傲慢症候群」の政治家は独裁的な手法に走りやすいので、「希望の党」が政権をとったら、排除がさらに強まるのではないかと危惧せずにはいられない。(寄稿/精神科医・片田珠美)