泉:さて、売り上げの幅が見えてきたところで、次に考えたいのが「どこまで投資するか」、つまり投資額の決定です。設備の改善として、やったほうがいいと思うことはありますか?

相談者(妻):家の中で両親の居住スペースと宿泊スペースを区切るためのカギを取り付けるくらいでしょうか。玄関は共有することになりますが、ちょっと心配なのは、玄関のカギを他人に預けることを、両親が不安に思わないかなという点です。

泉:電子キーを導入するという手はありますね。外出先から施錠を管理できるスマホのアプリも出ていてとても便利ですよ。

相談者(妻):いいですね! 思いつきませんでした。

泉:ということで、東京のほうはカギを替える程度で済みそうなので、多めに見積もっても10万円で済みそうですね。

●上限を決めるのはROI

相談者(妻):やろうと思えばいくらでもリフォームはできるかもしれませんが、そもそもいくらまでかけていいのかという上限については、どう考えたらいいのですか?

泉:投資に対するリターン、専門用語でROI(Return on Investment)の利回りで考えるのが原則になります。電子キー導入の投資をしたときに、何年で元を取りたいか?と考える。ちなみに、不動産投資や企業の事業投資などで、“よい投資”の一般的な基準とされるのが「8%以上」です。つまり、100万円の投資で1年後に8万円の利益が出れば収益性が高い投資と言われています。8%の場合、100万円÷8万円=12.5年なので100万円の投資を12.5年で回収していることになり、その後はすべてリターンになります(DCF法や税金はここでは考慮しません)。実際には「20年経っても回収できていない」という投資の失敗例であふれているんですけどね。今回の民泊の場合はビジネスの環境がまだ安定していませんし、5年後にどうなっているかという予測も立ちにくい。ですから、「12.5年以内に回収」を前提にせず、もっと早めに回収する計画を立てるほうが得策です。

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