1万人のリストラ計画を推し進めるNECは8月28日、7月に募集した早期希望退職制度にグループ正社員2393人が応募したと発表した。だが、まさにその当日朝、始業前に社員が本社ビル内で飛び降り自殺するという衝撃的な事件が起きていた。
男性社員の死とリストラの関係は定かでないが、実態は悲惨だったようだ。元NECグループ社員で産別労働組合「電機・情報ユニオン」の森英一書記長が語る。
「首切り面談が5月から執拗に行われ、10回以上面談を受けた人もいた。私も社員から『どうにかなりそうだ』と相談されました」
うつ病で休職中の社員の自宅近くまで行って面談したケースもあったという。
事件の前日には、日本共産党の田村智子参院議員が国会で、NECで違法な退職強要が行われていると追及。小宮山洋子厚生労働相は「NECに出向いて調査し、必要な指導をすることが必要と思う」と答弁している。
NECコーポレートコミュニケーション部は国会で指摘された「退職強要」について「強要と受け取られることがないように徹底している」と説明。男性社員の死について、こう話した。
「希望退職者の募集は、携帯電話事業部門などの3部門に所属する、勤続5年以上で40歳以上の社員が対象でした。亡くなられた方は39歳であり、3部門にも所属していませんでしたので、対象者ではありません。亡くなられた方には面談もしていませんでした。会社の構造改革と男性の死とは無関係です」
※週刊朝日 2012年9月14日号