このところのニュースによれば、景気は上向き加減、新卒生の就職環境はかなり改善されてきている様子だが、雇用関係者から聞こえてくるニュースにはまだまだ暗いものも多い。特に、大手企業からのリストラ通告は本人以外にも与えるインパクトは大きい。そんなことを考えながら、ニュースを見ていてふと思い出した。日本一会社員の多い東京には、リストラ防止を祈願する場所があることを。そこで今回は、都内有名どころをご紹介してみたいと思う。
●怨霊すらもご利益祈願に
まずなんといっても一番は、都心の一等地に慰霊碑を持つ「将門塚」だ。
皇居の東側、大手町1丁目に1307(徳治2)年から祭られ続けている平将門の首塚をそう呼んでいる。
平将門は平安中期の豪族で、京の朝廷に反抗し、自らを新皇と名乗り東国の独立を宣言したが、わずか2カ月で討ち取られ、京でさらし首となった。この首が体を求めて飛び回り、力尽きてついにはこの場所に落ちた、と伝わる場所である。ここには数々の「のろい」伝説があるのだが、今回これらの話は割愛しておく。
将門塚がリストラ防止祈願の場所と知られているのは、首塚だけに「これ以上首になりようがない」という理由からである。将門の怨霊をほんとうに恐れているのかどうかを疑問にさえ思ってしまうが、多くのサラリーマンたちが祈願に訪れているのだという。また、この派生として「左遷で飛ばされても戻ってこられる」という意味から、カエルの置物がいくつも奉納され、やがて誘拐などの被害からも“無事かえる”ご利益もあると言われている。有名な誘拐事件の被害者が奉納したカエル像もあるようだ。
●他を抜くこと、首がつながることが大事
浅草寺の諸堂のひとつに「鎮護堂」がある。仲見世通りから宝蔵門までまっすぐに行ってしまうと見逃してしまうが、宝蔵門の手前、伝法院通りを曲がって150メートルほど行った場所にある小さな門をくぐった場所がそうだ。
明治時代、浅草寺の貫主が、伝法院の守護として境内に棲むたぬきを祭ったことに始まるお堂であるが、火除け、どろぼう避けのご利益があるとして知られるようになった。