在任2季目で手腕が問われるマンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督(写真:getty Images)
在任2季目で手腕が問われるマンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ監督(写真:getty Images)

 8月11日にプレミアリーグの新シーズンが開幕する。昨季は優勝候補の”本命”とされたシティ&ユナイテッドのマンチェスター勢が優勝戦線から脱落し、下馬評がさほど高くなかったチェルシーの戴冠で終わった。そんな予想困難だった昨季から、今季はさらに混戦模様が強まっている。理由は巨額テレビマネーの流入に伴う、各クラブの積極的な補強だ。資金力の増加で今夏市場はインフレ傾向が強まっているが、この収入を有効活用してハイペースで補強を進めている。

 通常、テレビ放映権の分配金は前年度のリーグ順位によって金額が変わってくるが、今オフからこの分配金が格段に跳ね上がった。例えば、2シーズン前に「奇跡のリーグ優勝」を果たしたレスターが当時受け取った分配金と、昨季を20位で終えて2部に降格したサンダーランドが今オフに受け取ったその額は、約9300万ポンド(約132億円)でほぼ一緒。プレミアクラブがいかに資金力と競争力を高めているか、ご理解いただけるだろう。

 そんな群雄割拠の今季プレミアを制するのはどこか──。英ブックメーカー『ウィリアム・ヒル』の優勝予想(オッズは日本時間8月10日・午前10時時点)を紐解くと、トップは2.75倍のマンチェスター・Cである。2位には4.33倍でマンチェスター・Uがつけ、3位チェルシー(4.5倍)、4位トットナム(11倍)、5位タイ・アーセナル(13倍)、5位タイ・リバプール(13倍)と続く。英ブックメーカーの予想は、「本命がマンチェスター・C」、「対抗馬がマンチェスター・Uとチェルシー、トットナム」の3クラブだ。

 英識者でも優勝候補に推す声の多いマンチェスター・Cは、本稿執筆時でリーグトップの2億2000万ポンド(約312億円)の巨費を投じて、ジョゼップ・グアルディオラ監督の理想像に人員を近づけている。最たる例はオフに3選手を放出した代わりに、カイル・ウォーカー(トットナム)、ベンジャミン・メンディ(モナコ)、ダニーロ(レアル・マドリード)を加えたサイドバック。ポルトガル代表MFのベルナルド・シウバ(モナコ)を加えた中盤も充実し、ガブリエル・ジェズスとセルヒオ・アグエロが控える最前線もプレミア屈指の破壊力を持つ。しかし、頼りになるのがバンサン・コンパニしかいないセンターバックには大きな不安を抱える。近年は慢性的なけがに悩まされているだけに、シティも絶対本命とは言えそうにない。

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