目下、3位につける川崎も鬼木達政権1年目。こちらも有力候補の一角だが、アジア王者を狙うACL(アジア・チャンピオンズリーグ)の勝ち上がりがJ1戦線の浮沈に影響しそうだ。看板のボール支配力に前線プレスが加算され、攻守のバランスは昨季以上。前線の阿部浩之をデコイ(おとり)に使うゼロトップ戦法が的中し、どこからでも点の取れる強力な陣容へと仕上がった。無冠返上へ機は熟したか。

 前半戦で破竹の8連勝を飾り、一時は首位を突っ走った柏も総合力は高い。ネックは主砲のクリスティアーノに依存する得点源の偏りと負け数(6)の多さだろう。微妙に因果関係をにおわせる2つの死角を克服できるかどうか。また堅守を誇る横浜FMと超新星の堂安律を海外へ手放したG大阪は互いに決め手の問題をどうクリアするかが巻き返しへのカギかもしれない。

 優勝はともかく、タイトルレースに影響を及ぼしそうな存在と言えば、磐田と神戸だろうか。鉄壁の守備を誇る磐田は5連勝中と上げ潮で、神戸は懸案のアタック陣に元ドイツ代表の大駒、ルーカス・ポドルスキが加わった。

 特に前半戦の磐田は「大物食い」を連発。鹿島を皮切りにG大阪、浦和、FC東京らの足元を次々とすくってみせた。攻撃面も中村俊輔を絡めたアイデアの共有が進んでおり、最大の刺客へ格上げされそうだ。

 先制点を取るか取られるか、それによって戦績が極端に変わる神戸は、ポドルスキの神通力で体質改善が進めば面白い。何しろ一瞬でネットを射抜く左足の破壊力は正真正銘のワールドクラス。戦慄の一撃が真夏のJ1で炸裂すれば、一気に「神戸の乱」が始まるだろう。

 最後に競馬予想風に締めくくると、本命が鹿島、対抗がC大阪、単穴が川崎、大穴が磐田となる。サッカーでも予想でも、戦績を安定させるなら、まずは「守り」から、ということで。とらぬ狸の……。(文・北條聡)

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