また“むし歯は子どものころに治療したから大丈夫”と油断してはいけません。
「砂糖をちょこちょこと頻繁にとっていたら、何歳になっても歯みがきをしてもむし歯になります」
糖分を食べると、口の中にいる細菌が乳酸を作って、歯の表面を溶かします。しかし唾液(だえき)に含まれている成分によって、歯は自然に修復されます。
「つまり歯は一日に何回もむし歯になりかけては、自然に治り……ということを繰り返しています。むし歯になるのは、糖分が継続的に口の中に入ってきて、自然に治る時間のない人たち。だから私は、『甘いものを食べるなら、ちょこちょこではなく、一気に食べろ』と言っています」
■高齢者の歯周病患者が続々と増えている!
人によって、むし歯になりやすいタイプと歯周病になりやすいタイプがいます。むし歯になりやすいのは、甘いものが好き、間食をする、母親がむし歯であるなど。歯周病になりやすいのは歯のトラブルが少なく歯医者にあまり行かない、不規則な生活でストレスがある、喫煙習慣がある場合など。
「なりやすい傾向というのはありますが、『むし歯になりやすいタイプだから、歯周病にはならない』というワケではありません。成人の8割が歯周病ということは、自分では健康だと思っていても歯周病である可能性は大。40代になったら、痛みや出血などの自覚症状がなくても、歯科医院に行って、一度歯周病の有無をチェックしてもらうとよいでしょう」
実は、近年、若い世代の歯周病患者の数は減っているそう。しかし65歳以上の高齢者で見ると、歯周ポケットが4ミリ以上の人が増えているといいます。
「これは8020(ハチマルニイマル)運動が普及して、自分の歯を残せる人が増えたことが一因でしょう。歯周病は口の中の健康だけにとどまらず、全身の病気との関連も指摘されています。病気のリスクを高める歯周病を高齢になるまで残してしまうのは、大きな問題ですよね。ぜひ40代から歯周病予防を始めましょう」
【監修】
佐瀬歯科医院院長・佐瀬聡良(させとしなが)歯科医師
(取材・文/植田晴美)