なぜ途中で歯科衛生士に交代するの?(※写真はイメージ)
なぜ途中で歯科衛生士に交代するの?(※写真はイメージ)

 なぜ30分区切りの予約制なのか。なぜ同時間帯に複数の患者を診るのか――。身近にありながら疑問も多い歯科。そんな素朴な疑問を、週刊朝日MOOK「いい歯医者2017 誰も教えてくれなかった歯科の選び方」が、実際に現場で活躍する歯科医に尋ねた。

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Q:なぜ30分区切りの予約制なの?

A:歯科といえば予約制。そしてなぜか「10時から10時半」というような30分区切りが多いようです。「病院は予約なしで行けるのに、なぜ歯科だけ?」という声もありましたが、予約制こそ「患者さんのためのシステム」なのです。

「今から40年前くらいまでは予約制もなく、患者さんは何時間も待たされていたんですよ」

 と話すのは、若林歯科医院院長の若林健史歯科医師です。確かにそうです。50代以上の読者なら覚えているかもしれませんが、歯科医院の待合室は常に満席。開院と同時に行っても、順番が来るのが昼ならまだマシ。ときには昼休みをはさんで午後になることも。

「患者さんの時間をむだにしているのはもちろん、歯科医師にもむだが多かったはずです。患者さんが来たり来なかったりすると予定がたてられず、治療計画通り進めにくいですから」(若林歯科医師)

 ということで、歯科では次第に予約をとることが一般的になりました。予約時間はおよそ1人20~30分。クラジ歯科医院院長の倉治ななえ歯科医師はこう説明します。

「歯科治療は削ったり詰めたりという処置をするため1人20~30分は必要なのです。でも保険診療の場合、患者さん1人当たりの単価はあまり高くありません。歯科医院としては、できるだけ多くの患者さんを診たいはず。それでも1人30分の予約をとっているのは、実は良心的といえるのです」

 30分予約では、1人の歯科医師につき1日14~16人の患者しか診られません。内科や眼科であれば、1~2時間でさばける人数です。

「ですから、この30分を患者さんにも大切にしていただきたいのです。もしも安易なキャンセルが続けば、経営は成り立ちません。歯科医師も患者さんも予約に対して誠実でいることが、よい治療の第一歩です」(倉治歯科医師)

Q:なぜ同時間帯に複数の患者を診るの?

A:予約の時間なのにほかにも患者がズラリ。診察台の上でずっと待たされたという不満を持つ人もいました。以前はそういう歯科が多かったようですが、最近は減り1人の患者を丁寧に診る歯科治療が進んでいます。

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