小渕恵三氏(左)・小渕優子氏
小渕恵三氏(左)・小渕優子氏

「山口には3区選出の林芳正外相もおり、議席を巡って安倍派と林派がぶつかる可能性もある。安倍元首相という後ろ盾がない状況では、いくら信千世さんが岸家の人間でも、政治家として生き残れるか厳しい状況となる。最悪お家取り潰しとなるかもしれません」

 故小渕恵三元首相の次女、優子衆院議員(49、当選8回)は08年に少子化対策担当相として34歳で初入閣し、戦後の最年少入閣記録を塗り替えた。14年には女性初の経済産業大臣に就任。父に続く首相の座へ着々と駒を進めていたかに見えたが、同年、自身の政治団体を巡る不明瞭な資金処理問題が明るみに出た。

 東京地検特捜部が元秘書宅や後援会事務所を家宅捜索した際には、複数のハードディスクに電気ドリルで穴が開けられ、会計書類が処分されていた。政治資金規正法違反で元秘書2人に有罪判決が下り、優子氏自身への疑念も残す結果に。

「やはり政治とカネのスキャンダルがあったということは大きい。彼女自身もあまり表に出たがらないようだ。ただ不祥事の過去はあるものの、選挙で禊は済んだとして期待する声もある。初の女性首相を誰にするのかというのは、永田町だけでなく国民にとっても大きな関心ごとではないか」(野上氏)

加藤紘一氏(左)・加藤鮎子氏
加藤紘一氏(左)・加藤鮎子氏

 かつて「宏池会のプリンス」と呼ばれた故加藤紘一・自民党元幹事長の三女、鮎子衆院議員(43、当選3回)は、岸田氏が総裁選に出馬した際に注目された。

 森内閣時代の00年、紘一氏が野党の内閣不信任決議案に賛成する構えを見せた「加藤の乱」で、父とともに造反組に回った同志が岸田氏だった。20、21年の総裁選で鮎子氏は岸田氏の推薦人に名を連ね、その後、国土交通政務官に就いた。「首相の座に最も近い」と言われた政治家の娘は、これから頭角を現すだろうか。

鈴木宗男参院議員(左)と貴子衆院議員
鈴木宗男参院議員(左)と貴子衆院議員

 初の女性首相の「大穴」になるかもしれないのが、日本維新の会の鈴木宗男参院議員(75)の長女で、自身は自民党に属する貴子外務副大臣(37、当選4回)だ。13年に27歳で当時最年少の衆院議員として国会デビューを果たすと、18年には32歳で防衛政務官、35歳で外務副大臣と経験を重ねてきた。

 しかし、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、ロシア寄りともとれる宗男氏の発言が取りざたされ、貴子氏の副大臣としての立ち振る舞いも問われている。

 これら世襲議員の中から未来の首相は出るだろうか。誰がなるにせよ、「世襲ありき」でなく、その働きぶりで評価されるべきなのは言うまでもない。(本誌・佐賀旭)

週刊朝日  2023年2月17日号

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