次の首相を決めることになりそうな9月の民主党代表選と自民党総裁選。野田佳彦首相(55)と谷垣禎一総裁(67)の「再選戦略」は、2人が合意した「近いうちの解散」という約束に束縛される、奇妙な構図となっている。
民主党の代表選は9月21日。告示まであと3週間だが、野田首相の口から再選に向けた明確な発言は出てこない。
「野党を刺激するから、国会閉会まで再選に向けた発言はできませんよ。会期末の9月8日が土曜日だから、その前日に記者会見して正式に立候補表明すると思います」(首相側近)
党の"不純物"だった「国民の生活が第一」の小沢一郎代表(70)らが大量に離党。鳩山由紀夫元首相(65)は迷走し、完全に求心力を失った。代表選で対抗馬として名乗りを上げる可能性があるのは馬淵澄夫元国土交通相(51)ぐらいだ。
それでも周辺は、仙谷由人政調会長代行(66)の動きに神経をとがらせる。
「仙谷さんは野田政権になってから実権が握れず、イライラしています。問責2閣僚ら5閣僚を代えた6月の内閣改造で、輿石東幹事長(76)の交代説が流れました。仙谷さんは『少なくとも幹事長代行就任の話は来る』と周囲に漏らしていたのに、お声がかからなかった。代表選で誰かを担ぐポーズを見せ、その後の人事で要職を狙ってくるのではないか」(民主党中堅議員)
「代表選で対抗馬が『野田さんと違って、私は来年夏の任期満了まで解散しません』と宣言すれば、落選を恐れる議員の票を集める可能性があります。輿石さんも早期解散には反対ですしね」(民主党議員)
野田首相のアキレス腱は、やはり「早期解散」の密約に尽きるようだ。
※週刊朝日 2012年8月31日号