中国では、スマホがこの数年で急速に普及した。1人で2、3台もつ若者も珍しくない。HUAWAI(ファーウェイ)、Xiaomi(小米/シャオミ)といったメーカー名を耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。iPhoneや日本メーカーのものより安価なこれらの製品も後押しとなり、中国でも、少なくとも都市部では日本と同じように誰でもスマホを持つようになっている。
スマホでよく使われるようになったアプリのひとつに、タクシーの配車アプリがある。この1年ほどの間に、利用率が急速に上がった。相乗りも選択でき、今や上海などの大都市で生活するために必要なスキルといった感さえある。
ただし、上海などではタクシーの供給が需要に追いついていないため、とくに週末や雨の日となると争奪戦となり、配車アプリを使ってもなかなかつかまらない。アプリを使わず流しでつかまえることはもっと難しい。渋滞もあるし、いつつかまるかもわからないタクシー。こういった背景のもと、シェアサイクルの人気が爆発したのだ。
スマホの普及→タクシーはアプリで争奪→つかまらないタクシー→それならシェアサイクル。「風が吹けば桶屋が儲かる」のようなことが、またたく間に起きてしまうのが中国的といえる。
中国の経済成長は一時期よりは減速したとはいえ、2016年も6.7%の伸びとなった。今後は内陸部の成都、重慶、武漢といった都市の大きな成長が見込まれている。つまり、まだまだ大きな変貌を遂げつつあり、成長も続いていくと見込まれている。
シェアサイクルの爆発的な普及は、こうした中国の勢いを象徴するものとも言えるが、実は、もともと自転車大国だったことも影響しているのだろうと私は考えている。
また、このシェアサイクルの人気で、新たな問題も出はじめている。利用者が増えたことで違反駐輪や違反走行などが目立ちはじめ、上海でも区によっては駐輪や走行を厳しく取り締まるようになった。もともと規制がある区でもこれまで管理されていなかったが、あまりにも違反が目にあまるということで厳しくするようになったようだ。
そうはいっても中国人利用者は「対策や政策があとから追って出てくるのはいつものことだ」と、どこ吹く風。人民パワーのたくましさを垣間みる気がする。