米メディアに注目されたのは千賀だけではない。前述した『ブリーチャーズレポート』の「今大会でブレイクした10人」という記事には、日本の4番打者として君臨した筒香嘉智も含まれていた。

 著者のシェイファー記者は、25打数8安打、3本塁打、8打点と大活躍した筒香の長打力を高く評価。「いつかポスティングされた際には、千賀の場合と同様、メジャーの複数のチームが名乗りを挙げるだろう」と記事を結んでいる。

 非力さは否めなかった日本打線の中で、ほぼ唯一メジャー級のパワーを感じさせた筒香の存在感は現場取材した一部の記者の中でも特筆されていた。もっとも、この筒香に関して、21日付でESPN.comにこんな風に記されていたことも見逃せない。

「(筒香は)レフトを守っていたが、終盤イニングには守備要員と交代していた。アメリカでも打撃は通用することは疑いもないが、動きはスローで、ポジションがないかもしれない。(だとすれば)MLBに挑んでくる可能性は高くないだろう」

 その一方、この記事を書いたデビッド・ショーエンフィールド記者は、侍ジャパンの1番打者として長打力を誇示した山田哲人にも注目している。

「昨季の山田は日本で打率.304、38本塁打、30盗塁、97四球。WBCでは菊池涼介が2番セカンドとして出場し、山田は1番DHで起用されていた。ただ、山田も昨季141戦で4エラー(実際は133戦で5エラー)しか犯していない。もしもセカンドが守れるなら、太平洋を渡っても大きな成功が収められる選手に見える」

 日本人野手はメジャーでは苦しむことが多く、特に内野手は守備面の適応がネックになってきた。そんな中で、かつての松井稼頭央、井口資仁、岩村明憲など、セカンドでは複数の選手が一定の活躍をした実績がある。そんな背景を考えれば、どちらもメジャーを志したとして、筒香よりも、むしろ山田の方に高い値がつくことは十分に考えられそうだ。(文・杉浦大介)

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