長引くデフレ不況で経営の体力を奪われて廃業したり、倒産したりする街場の会社が増えている。

 帝国データバンクによると、負債額5千万円未満の「零細企業倒産」は、2011年度に前年度比3.4%増の5923件に達し、過去10年で最多となった。l日当たり約16社の零細企業が日本のどこかで倒産している計算になる。

「特徴的なのは、全体の倒産件数が減少傾向にあるのに、零細企業の倒産は増加していることです」

 帝国データバンクの篠塚悟情報取材課長はそう指摘する。

 データによると全体の倒産件数は09年をピークに大きく減少しているが、零細企業の倒産件数は右肩上がりで増加している。

 東京商工リサーチによると、今年上半期(1~6月)は、従業員5人未満の企業の倒産が倒産件数全体の70.1%を占めた。この割合は、上半期としては過去20年で最高だという。

 日本経済の深層で、いったい何が起きているのか。

「中小企業金融円滑化法などの政府の金融支援が効果を発揮し、全体の倒産件数は抑制されています。しかし、そもそも零細企業は経営体力に劣るため、金融面で支援を受けたとしても、本業の業績を回復することができず、倒産するケースが多いのです」(民間調査会社のエコノミスト)

 大企業との戦いが熾烈になっていることも、街場の零細企業を疲弊させる大きな要因だ。第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストはこう指摘する。

「大手との価格競争になると、零細企業は太刀打ちできません。また、零細企業には下請けや孫請けも多いため、円高でコスト削減を進める大企業からの圧力が強まり、価格交渉で不利になっているのです」

※週刊朝日 2012年8月17・24日号

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