2017年2月24日(金)、ついに「プレミアムフライデー」が導入される。経済産業省と経団連、業界団体などが協力して進めるこの施策、月末の金曜日の退社時間を早めることで余暇を増やし、消費を促進させるのが狙いだ。
さまざまな企業がプレミアムフライデーに向けたキャンペーンを企画しているが、特に大きな期待を寄せるのは外食業界だろう。夜の開店時刻を早めるなどして、15時前後から割安メニューや限定メニューを提供することを宣伝する飲食店は数多い。だが、旅行大手JTBの調査では、そうした飲食業界の思惑に冷水をかける結果が出ている。
調査は2017年2月10日から2月14日にかけて、20歳から59歳までの500人の男女を対象に行ったもの。「あなたは、金曜日の半分が休みになっても、今までと変わらず飲みにいきますか?」という質問に対して、「飲みには行かず、別のことをすることが多くなると思う」という回答が52.4%を占め、「変わらず飲みに行くと思う」の47.6%を上回った。同調査のレポートは「プレミアムフライデーになると、飲みに行く人が半分以上も減るという事実は驚愕」と指摘する。
だが、この結果は、人々が金曜日に飲みに行く「そもそもの理由」を知ると腑に落ちる。
飲みに行く理由の第1位は「お酒が好きだから」(24%)、第2位は「皆で集まるのが楽しいから」(21.8%)で、能動的な動機が約半数を占めたが、第3位は「誘われるから」(16.4%)、第4位は「休みの前日に何かしないともったいないから」(8.2%)と受動的な動機になっており、ほぼ4人に1人は惰性で飲みに行っているという。
プレミアムフライデーで休みが半日増えることで、こうした惰性で飲みに行く人々には「より時間を有効に使いたい」という意識が芽生え、自然と酒場から足が遠のくと考えられるのだ。
では、プレミアムフライデーの導入によって、酒場には閑古鳥が鳴くことになるのか。少なくともしばらくの間は、それは考えづらい。そもそもプレミアムフライデーを導入する企業が非常に限られているからだ。
一方、TSUTAYAの経営などをするカルチュア・コンビニエンス・クラブの調査では、勤務先がプレミアムフライデーを導入するかどうかを尋ねている。調査対象は、仕事をしている18~69歳の男女1603人。2017年2月3日から8日にかけて実施された。
これによると「導入する」はたったの3.4%。「導入しない」は68.2%、「わからない」は28.3%という結果だった。
プレミアムフライデーの導入を受けて、ソフトバンクグループが全社員への毎月1万円の支援金の給付を宣言したり、サントリーホーディングスが毎月最終金曜日には社員約5000人に午後3時退社の推奨を表明するなど注目を集めているが、多くの人にとってプレミアムフライデーはまだ“人ごと”。社会に定着するにはまだ時間が必要なようだ。(文/dot.編集部)