結婚、出産を経て育児をしながら競技を続けたいという女性アスリートが増えている。夫婦の思い出の地だという東京ディズニーリゾート内のディズニーアンバサダーホテルで2月5日、結婚披露宴を行った卓球の福原愛(ANA)もその一人のようだ。結婚生活の地盤づくりのため現在は競技活動を休止している福原だが、注目される復帰時期について、周囲には出産後を希望していると報じられている。競技者としても女性としても「後輩のために新しい道を切り開くことができたら」と公言する福原らしい復帰ロードと言えるだろう。
最近では他にも2012年ロンドン五輪柔道女子57kg級金メダリストで、昨夏のリオデジャネイロ五輪でも銅メダルを獲得した松本薫(ベネシード)が昨年11月に結婚。今夏には出産を予定しており、産後に現役復帰すると明言している。先輩柔道家の谷亮子が2008年北京五輪の際に目標とした「ママでも金」になぞらえ「ママでも野獣」と発言したことも話題となった。
しかし、女性アスリートが育児と競技を両立させるのは容易ではない。何しろ日本には「母親は家にいて育児をするもの」という古風な考えが未だに根強く残り、特にトップ選手になるほど厳しいトレーニングに時間を割き、時には海外遠征や強化合宿などで長期間、家を留守にすることもあるのだ。実際、母親と競技者との板挟みで悩む女性アスリートは多く、スポーツ界では近年、ママアスリートを支援する動きが活発化している。
例えば、育児に奔走しながら2014年ソチ冬季五輪出場を果たしたフリースタイルスキー・ハーフパイプの三星マナミは、ママアスリートの競技環境改善のためのプログラム「Mama Athletes Network(MAN)」を提案。これが文部科学省の独立行政法人である日本スポーツ振興センター(JSC)の「女性アスリートの育成・支援プロジェクト」に組み込まれ、スポーツ庁の受託事業として2014年にスタートした。MANでは年数回のワークショップを開き、第一線で競技を続けることを批判されたり、子育てと競技の両立に悩んだりした三星自身の経験をはじめ、同プログラムに賛同するママアスリートたちの意見をもとに、女性アスリートならではの相談に乗ったり、情報交換を行ったりする場として機能している。