全国高校サッカー選手権は1月7日に準決勝の2試合が行われ、青森山田(青森)と前橋育英(群馬)が決勝に進出した。今大会はインターハイ王者の市立船橋(千葉)が2回戦で、前回王者の東福岡(福岡)が準々決勝で敗退するなど、戦前の注目度から考えれば波乱が多い大会と言える。
ただ、優勝候補の一角にあげられていた青森山田はもちろんのこと、ベスト4に勝ち上がったチームは組織としての完成度が高く、いいディフェンスからいいオフェンス、あるいはその逆と言う形に、攻守のトランジションがこの年代としては非常に高いことが共通する。
青森山田は、FC東京加入が内定しているGK廣末陸を中心とした鉄壁の守備と正確なビルドアップをベースに、とにかく隙が少ない。イージーなミスと言うとボールロストをイメージしがちだが、攻勢をかける中でも後ろが守備のバランスを崩さないのが特徴的だ。早い時間帯に先制しても変にリズムを変えることなく、着実に試合を進めながらサイドの高い位置にチャンスの起点を作り、準決勝まで4試合連続得点中のMF高橋壱晟と、インターハイ得点王のエースFW鳴海彰人の“縦のホットライン”につなげる。
攻守のタレント力が高いだけでなく、彼らの能力をバランスよく生かしているところはさすがプレミアリーグWEST、さらにチャンピオンシップでJユースの猛者を退け、高校年代の王者に輝いたチームだ。前記の廣末、高橋、鳴海といった選手に注目は集まるが、ロングスローが話題になった2年生MF郷家友太は長身ながら技巧的で判断速度も高い。間違いなくプロ注目となる逸材だ。
東海大仰星(大阪)と佐野日大(栃木)は激戦区の県大会から接戦をモノにしてきた勝負強さが全国でも発揮された格好だが、ともに守備が堅く、中盤でのミスが少ないことが基盤となっている。加えて両校に共通するのは攻撃が失敗した直後に守備が整い、相手のカウンターを受けない強みがある。東海大仰星は準々決勝の東福岡戦で、まさにワンチャンスをものにして“金星”をあげたが、勝つためにその戦い方を選手たちが受け入れ、徹底して役割を全うしている。