南場氏らはWELQを始めた時点では、フィットネスなどライトな健康情報を掲載するサイトと位置付けていたため、知らぬ間に専門的な内容にまで足を踏み入れていたことに驚きを感じたという。
しかし、時に命にもかかわる医療の分野で誤った記事を流すことは、知らなかったでは済まされない問題だ。
現に、WELQに掲載された記事の「やけどは流水か濡れタオルで冷やしましょう」といった記述に従い、濡れタオルで冷やしたところ、やけどした部分の皮膚がタオルにくっついてはがれてしまった人がいる、との報告もある。
守安社長は今回の問題の原因として、ふたつの点を挙げた。
「これまでゲーム事業で大きく成長してきて、12年から業績が下がってきた。その中でゲーム事業の立て直しのほかにも、新しい事業を立ち上げなければならないということで、新事業に取り組んでまいりました。さまざまな新規事業に取り組んだのですが、当社の予想通り成長していくことは難しかった。そんな中で、MERYやWELQと出会いました。そこで、スタートアップのよさ、新しいことにチャレンジするよさをなるべく温存しながらも、事業を成長させること、1部上場企業として成功させるという点でバランスを取る必要があったのですが、そのバランスのとり方をうまくとることができなかったのかなと思います」
つまり、事業としての成長を重視するあまり、コンテンツの質を担保することがおろそかになった、ということのようだ。また、ふたつ目については「キュレーションメディアを作ることへの認識、著作権者への配慮や質の担保という点で、メディアの事業者として行わなければならない点が不足していました」と説明。「このふたつのことが背景として大きいのではないかと思います」と話した。
だが、キュレーションサイトであるにもかかわらず「引用を隠ぺい」し、オリジナル記事を装うようなマニュアルがあったり、一方で各記事の文末には「記事の内容には一切の責任を負いません」という旨の文章が記載されていたりと、同サイトがキュレーションサイトであれ、ウェブメディアであれ、整合性がとれないような動きが目立つ。そもそもDeNAがこのサイトをどういった位置付けて運用してきたのか、その根幹からぼやけている印象を受けた。