そんな中、兵庫県南あわじ市では、16年10月、地元の名物をモチーフにした4種類のご当地めいすいくん候補から、市の選挙啓発などに使うキャラクターを選ぶ「ご当地めいすい選挙」が始まった。有権者は市内の小中学生約3800人だ。
担当する市選挙管理委員会によると、将来の有権者である小中学生に、選挙に関心を持ってもらうことが狙いだという。同市は、18歳選挙権が導入された今夏の参院選で、事前の啓発に励んだ。しかし、新有権者(18、19歳)の投票率が、兵庫県内の市町で最低の31.16%だった。
候補者は、市選管がひねりにひねって考えた。(1)鳴門海峡の渦潮にヒントを得た「うずしお船長」(2)名産品のタマネギでVサインを作った「たまねぎ王」(3)市の花であるスイセン姿の「すいせん仙人」(4)郷土芸能の淡路人形浄瑠璃に絡めえびす様の格好をした「えべっさん」の4候補だ。
ただ投票するだけでは記憶に残りにくいため、投票用紙も、候補者の名前を書く記載台も、投票箱も、全て実物を使い、実際の選挙と同じ手順で行うことにした。オリジナルの選挙公報も作成、候補者の公約を聞ける政見放送も制作し、インターネットの動画投稿サイトで見られるようにした。
既に各学校で投票が始まっており、2016年11月9日には、南あわじ市立三原中学校で投票が行われた。投票では、市選管の職員がめいすいくんの特徴や選挙のやり方について説明。全校生徒約420人が、立会人の生徒や教諭が見守る中、次々と一票を投じた。投票を終えた生徒数人に聞いてみると、「かわいさ」「地元の魅力を発信」などを基準に選んだという声が相次いだ。
選管の担当者は「小中学生によるガチの選挙は、おそらく日本初だと思う。家庭でも話題にして、選挙や政治を身近に感じてほしい」と効果を期待する。開票日は12月1日。小中学校の昼休み時間に開票作業が行われ、当選キャラクターは、2017年2月の南あわじ市長選から起用される。さて、結果はいかに。(ライター・南文枝)