リオ五輪の金メダリスト、柔道女子70キロ級・田知本遥(ALSOK)とレスリング女子48キロ級・登坂絵莉(東新住建)は9月12日、出身地の富山県で凱旋パレードを行った。2人が乗り込んだオープンカーは富山市中心部の県庁周辺、約1.5キロを約40分かけてパレード、あいにくの雨にもかかわらず約2万2000人が沿道に並び、祝福した。
12日はパレードの前後に富山県民栄誉賞の贈呈式、祝賀会と快挙をたたえる催しが続き、2人はずっと行動をともにした。競技は違うものの、格闘技に打ち込む女子選手同士、すっかり打ち解けた様子。26歳で五輪出場は2度目となる田知本が23歳の登坂をリードしたり、“後輩”が“先輩”を立てたりと終始、息はぴったり。何度もそろって記念写真に納まった。
それもそのはず。2人の間には金メダルがつなぐ絆がすでにある。登坂は田知本の優勝を移動中の機内で知り、選手村に入った後で金メダルを見せてもらった。「私も、これと同じ金メダルが欲しい。絶対に取る!」と自身に言い聞かせて競技に臨んだ。田知本は帰国後、レスリング競技をテレビ観戦し、登坂が金メダルを獲得すると、真っ先に祝福メッセージを送っている。
リオ五輪で柔道が行われた会場は競技終了後、畳に代えてマットが敷かれてレスリング会場になったため、優勝が決まった瞬間に仰ぎ見た天井の光景も2人にとっては同じ。祝賀会で五輪の映像が流れると、「試合しやすい会場だったよね」(田知本)、「そうですね。私は、まったく緊張しなかったです」(登坂)などと共通の思い出を振り返った。