絶好調であったとしても、冷静にレースを進められないのが五輪の難しさである。しかし、それをいとも簡単にやってのけたのが、16歳の池江璃花子だ。
予選、準決勝と連続して、自己ベストとともに日本記録を更新して臨んだ女子100mバタフライ決勝。前半は26秒81の7位で折り返す。ターン後に伸びてきた池江は、一時は3位争いを演じるが、世界の壁は厚かった。ラスト5mで再度スピードを上げてきた海外勢に飲み込まれていく。池江のフィニッシュタイムは、56秒86。また自己ベストを更新しての日本新記録樹立。だが、銅メダルのダナ・ボルマー(アメリカ)との差は、たったの0秒23という悔しい結果だった。
「56秒台を目標にしていたので、メダルは獲れませんでしたけど、また自己ベストが出せてうれしいです。同い年の選手(カナダのペニー・オレクシアク)が2位に入っているので、負けないように食らいついていきたい。まだレースはあります。リレーもそうですが、200m自由形でも気持ちを切り替えて、準決勝、決勝と進めるように頑張ります」
池江は結果以上に、その潜在能力の高さを見せつけてくれた。ポイントはレース展開だ。