自己評価が低く、新たなチャレンジに消極的、人間関係では親密になるのが怖い……。こんな性格の人は、あなたの周囲でもいるのでは? これらは、回避性パーソナリティ(以下、回避性)の特徴だ。
心療内科クリニック「岡田クリニック」の院長・岡田尊司氏は、自著『生きるのが面倒くさい人』の中で、回避性の人が増えていると指摘している。アメリカの調査によれば、回避性パーソナリティ障害の一般人口の割合が、1990年代は0.5~1.0%ほどだったが、2007年には成人の5.2%へと上昇。20人に1人はいるという、回避性の人とうまく付き合っていくコツとはどんなことだろうか。岡田氏の著書から、付き合いからのヒントを学んでいこう。
たとえば、会社の部下が回避性である場合、上司のあなたに求められるのは、控えめに言う技術だ。回避性の人は、期待や責任に敏感だ。すぐれた能力や感性をもっていたとして、プレッシャーがかかると、そこから逃げたくなってしまう。回避性の部下を潰さないためには、急に責任や負担が増えると思わせないことだと岡田氏は言う。同じことをやらせても、「いつでも頼ればいい」と逃げ場所を用意する。重圧には弱いが、現状を維持するのは得意なので、単調な仕事でも長期間にわたって、しっかりこなしてくれる。大きな期待をかけなければ、回避性の人は、部下として、うってつけのタイプといえるかもしれない。
一方、上司が回避性の場合にはどうすればよいのか。新たな挑戦を避け、責任を取りたがらないという特性から、リーダーとしての資質を疑ってしまうこともあるだろう。岡田氏は「さらに大きな不安を掻き立てること」で、新たな負担や決断を行う方向に上司を動かせばよいと言う。アクションを迫るのではなく、本人の心の中にある不安を焚きつけて、行動せざるを得ない状況をつくることが大事なのだ。