例えばアイスランドは、わずか33万しか人口がいない。これは東京の中野区と同じ規模だが、育成環境への長年の投資が結実し、メジャートーナメントへの初出場を決めた。予選ではワールドカップ3位のオランダに2戦2勝、またトルコやチェコも破っており、台風の目になっても不思議ではない。

 ちなみにこの国は火山を生かした地熱発電で知られるが、いまはEURO熱がヒートアップ中。2万5000人のサポーターがフランスに応援に行くという。建国史上最大のお祭りになりそうだ。

 ロシアやチェコのアイスホッケー、オーストリアのアルペンなどヨーロッパ各国は得意競技を持っている。とはいえ、大衆にもっとも浸透しているのはサッカーだ。どの国のファンに尋ねても、「国技はサッカーだ」と断言するに違いない。

 だが、例外がある。ウェールズだ。この国はラグビーが圧倒的な人気を誇り、サッカーは日陰に甘んじてきた。すべての学校にラグビーチームはあるが、サッカーチームがある学校は少ないという。

 それだけにウェールズの初出場には価値がある。人口わずか300万、さらに優秀なアスリートたちがラグビーに流れる中で厳しい予選を突破してきたからだ。

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