山札の中には1枚だけ「カロウシカード」が含まれており、引いた瞬間に「カロウシ・チャンス!」が訪れ1ラウンドが終了。カードを引いたプレイヤーの合計残業時間が、基準時間(3人の場合なら100時間)を超えると「カロウシ」が成立し残業代はゼロ、時間内に収まっていればすべてを残業代に換算できる。他のプレイヤーは、一部のカードのみ残業として認められる、という仕組みだ。

 山札には、労働基準監督署の調査が入る「ロウキカード」、強引な稼働調整を行う「社内調整カード」なども含まれており、これらを用いてゲームを有利に進めることもできる。

 働いた経験がある人なら、身につまされて仕方がないゲームである。ツイッターでは、「周りに居た社畜3人誘って4人でやった。色々リアル」に始まり、「89時間残業 VS 23時間残業。圧勝」といった残業自慢、「126時間残業で見事過労死に成功!」などのカロウシ自慢、「わざわざ残業時間記録用のそれっぽいホワイトボード買ってきてよかった」といった小道具の持ち込みまで、様々なプレイの感想が上がっている。なぜ作られたのか。

 ゲームを開発したのは、「社会人年齢ヒト桁」の3人で構成する文学サークル「反社会人サークル」。主な活動はミニコミ誌「ロウドウジン」の制作で、年2回の文学同人誌即売会「文学フリマ」で配っている。メンバーによると、その中で掲載されていたコラム「この過労死がすごい!」という“言霊”に引かれて、過労死をテーマにしたカードゲームを作ることにしたそうだ。

 とはいえ、3人ともゲーム作りは初めて。ボードゲームに詳しい識者や愛好家ら協力を得ながら、ゲームマーケット直前までテストプレイを繰り返した。マーケットで完売した時は「正直驚いたが、とてもほっとした」という。

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?
次のページ