元自衛隊メンタル教官で、『自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法』(朝日新聞出版)の著者でもある下園壮太さん。長年自衛隊でカウンセラーを務めた下園さんは、これまで接してきた数多くのクライアントを通して、不安を減らし、自信を回復するための秘訣(ひけつ)を見いだすことができたという。自信回復のために最も大切な「自分自身を正しく評価するスキル」について下園さんに伺った。
* * *
ストレスとは外界の刺激のことだが、厳密にいうと客観的な量で決まるものではなく、自己イメージとの比較で決まる。例えばある上司の物言いがストレスという場合、自分がそれに対処できると感じているときは、ストレスではないが、自分がうまく対処できないと感じた時がストレスになるのだ。
つまり、自己イメージを強化できれば、社会を変えなくてもストレスはかなり減ってくる。自己イメージを強化するには、具体的には「自己評価の訓練」が必要だ。
日本人は真面目で不安がりな傾向が強いので、「自分に厳しい人」が多い。これでは、どんなに頑張っても、「まだまだダメだ、もっとやらなきゃ」と常に自分で自分にマイナス評価を出し続けることになってしまう。それでは不安は消えず、自信も育たない。
一番大事なのは、「自分自身を正しく評価するスキル」なのだ。そこで、不安を減少させ、自信を回復させるツールを簡単に紹介したい。
私は、毎日を振り返り「良いことを3つ」「悪いことを1つ」、悪かったことに対する「今後の対策を1つ」挙げる訓練を推奨している。3(サン)、1(イチ)、今後(コンゴ)の頭文字をつなげて「サイコーの評価法」と呼んでいる。
ある人は、仕事上の挫折をきっかけに、うつ状態になってしまった。2カ月の休養を経て職場復帰をしたが、うつになる前に比べて、まったくと言っていいほど自信がなくなってしまった。
何とか無難に仕事を終えても、自分では気が付かないミスをしているのではないか、誰かからケチをつけられるのではないかと考えてしまう。すると、周囲の人が自分を攻撃しているように見えてしまうので、愛想も悪くなる。
周囲からも「復職しても、以前のような明るさはなくなって、付き合いにくい人になってしまった」と感じられていた。