「それさえ守っていれば私たち夫婦の間では何も問題はありません。娘が産まれてからは、交際相手のお子さんも含めて家族ぐるみでのいいお付き合いをさせて頂いています。私たち夫婦が忙しいときは、どちらかの交際相手に娘の面倒を見てもらったこともあります」(アヤコさん)

 今では夫婦互いの交際相手も含めた“親戚”のような付き合いだという。

 アヤコさんには、現在、ふたりの彼氏がいる。そのうちタナカさんは“一番手”、エグチさんは“二番手”と序列がついている。これはアヤコさんのなかでの優先順位で、夫のリョウスケさん、タナカさん、エグチさんの順だ。二番手のエグチさんが語る。

「ご主人や、一番手のタナカさんでも受け止められない何かを受け止めるのが僕の役割です。順位というか序列をつけてもらったほうが、かえって自分の役割がわかっていいです」

 ポリアモリー実践者の間では、一番手の序列がつく交際相手と何らかの事情で別れた場合、二番手が一番手に昇格することは、「あまりない」(リョウスケさん)ようだ。

 あくまでも二番手は二番手の役割に徹しなければならない。もっともアヤコさんとの関係では二番手のエグチさんも、他の交際相手女性からは一番手とされていたり三番手とされているという。

「夫婦でも、ステディな交際相手でも、1対1だと、背負うものが重過ぎます。でも複数の異性と同時進行の交際では背負うものが分散されて軽くなります。夫婦間の些細ないざこざも気にならなくなり、かえって相手(夫)に優しくなれます」(アヤコさん)

 最後に戻ってくるところは家であり、互いの配偶者という条件の「放し飼い婚」。現在の日本社会の倫理観、価値観とはかけ離れているが、歴史的には日本のみならず、海外でも多々あったもののようだ。そう考えれば、案外、人間的本能と歴史に裏打ちされた“由緒正しきもの”といえるのかもしれない。

※本文中、仮名はカタカナ

(フリーランス・ライター・秋山謙一郎)

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