『日本で100年、生きてきて』(朝日新書)むのたけじ/聞き手・木瀬公二定価:842円(税込み)Amazonで購入する
『日本で100年、生きてきて』(朝日新書)
むのたけじ/聞き手・木瀬公二
定価:842円(税込み)
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 安全保障関連法案が衆議院を通過し、7月27日より、参院での審議が始まった。しかし、そこで否決、もしくは採決されないまま60日を越えたとしても、再び衆院に戻されて3分の2以上が賛成すれば法案は成立する。

「戦争反対」「日本を戦争する国にするな」「9条を守れ」――衆院通過以降、連日のように、日本各地で集会やデモが行われ、政府の決断に反対する声が上がっている。戦後70年を迎える今夏、我々はどのような気持ちであの日を迎えるのだろうか。

 日本は、1945年8月15日を境に「戦争をしない国」へと歩み始めた。この日、「負け戦を勝ち戦と書き、戦争遂行の手助けをとした」と戦争報道の責任を感じ、終戦の日に朝日新聞社を退社したひとりの新聞記者がいた。むのたけじ氏、御歳100歳。朝日新聞退社後、48年に秋田県横手市で週刊新聞『たいまつ』を創刊、休刊となる78年まで主幹として健筆を振るった。その後も、著作や講演などの活動を続け、100歳となった現在でも活躍している現役のジャーナリストだ。

 戦後、一貫して反戦の立場から言論活動を続けたむの氏。そんな彼が、朝日新聞岩手版と秋田版に掲載している連載「再思三考」の中で、一部の平和活動家や憲法9条についてこう語っている。

「8月15になると、終戦記念日だといって、いろんなところでいろんな行事があるな。オラはああいうのはやりたくないな。特定の記念日をつくっても、命日みたいで、自己満足の行事にしかならないもの。『9条の会』もあまり評価しないな。そこに入会したことで平和運動やっているような気になっている人ばかりに見えるから。本気で戦争をなくそうと思うなら、365日の『戦争反対』をやらないとだめなんだ」(「再思三考」2010年8月16日)

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