在宅を支援する取り組みは自治体でも始まっている。
患者がいざ「在宅で療養生活を」と考えても、医師や訪問看護師、ケアマネジャー、介護士など、その関係者は多岐にわたり、何をどこに相談すればいいかわからないことが多い。
そこで横浜市南区では、在宅でも安心して継続的な在宅医療や介護を受けることができるよう、南区医師会内に在宅医療相談室を設置した。
「往診してくれる医師を教えて」
「急性期の治療が終わったが、退院して自宅で介護できるか不安」
「在宅の患者を一時的に入院させてくれる病院はないのか」
「お金に関わることはどこへ相談すればいいのか」――。
15年1月に開設されて半年、在宅医療相談室にはさまざまな相談が寄せられている。
相談員の高砂裕子さんはこう話す。
「在宅に関わる制度やサービスはめまぐるしく変わっています。医療者や介護関係者ですら追いつくのに苦労するほど。市民が自力で適切な情報に行き着くには、限界がある。コーディネート役である相談員の役割は重要だと実感しています」
急速に進む高齢化は、大都市の横浜市でも例外ではない。市内の75歳以上の人口は、25年には13年の1.6倍の58万6千人になると予測。横浜市では病院のベッドが足りなくなる事態に備え、在宅医療の充実を図ってきた。そのひとつが各区に「在宅医療連携拠点」を設置することだ。