あらためて、担当者に富山環水公園店の魅力について聞いてみた。
「74席あるうち、テラス席は32と多いことが特徴です。リードフックも設置しており、犬の散歩の途中で立ち寄っていただくにも便利。椅子に座ると運河と立山連峰が一望でき、冬場は公園内にイルミネーションが点灯することもありますので、四季を通じて楽しめます。対岸には美術館も建設予定ですので、店の周辺もどんどんすてきな場所になりますよ」
アピールポイントは数多く、話は尽きない。富山県民、根拠はなくとも「世界一」を納得できる解説に、大いに気を良くした。世界一ではないが、「世界でもトップクラスのスタバ」と胸を張って言い続けてもいいのではないか。
3月14日の北陸新幹線開業後、旅行客と思われる来店客が増えたらしい。また、開業前後は観光ガイドを制作する出版社などからの取材・問い合わせが相次ぎ、通常の10倍以上の件数の対応に追われたという。「世界一」との評判は、北陸新幹線の勢いに乗って富山環水公園店の知名度を一気に高めたといえる。
富山観光の目玉といえば、立山黒部アルペンルート、世界遺産の五箇山合掌集落、富山市の「おわら風の盆」……。とはいえ、いずれも北陸新幹線が停車する駅からはかなりの移動距離がある。
「もしかして、最も行きやすくて、有名な富山の観光スポットはスターバックスかも……」
富山県民は内心、ちょっと複雑でもある。
(ライター・若林朋子)