■固定資産税の減額対象から 外され、税負担も増大する
全国の空き家数・空き家率は、過去最高水準で推移しています。荒廃して、倒壊や火災などの恐れもある危険な空き家の撤去を促すため、2015年5月26日から「空き家対策特別措置法」が完全施行されます。空き家への立ち入り調査や、所有者に撤去や修繕などを指導・勧告・命令できる権限が市町村に与えられ、所有者が命令に従わない場合は過料の罰則も設けています。
さらに注目すべきは、保安上危険な「特定空き家」と認定されると、税負担が増大すること。200平方メートルまでの小規模住宅用地の場合、住宅が立っていると固定資産税の課税標準が6分の1に減額される特例措置がありますが、「特定空き家」はこの特例対象から外され、更地と同様になるのです。空き家を放置したまま子どもに相続させると、税負担が重いうえ、建物を撤去しないと活用できない、やっかいな遺産を背負わせることになります。
親の自宅を相続し、空き家のまま放置している人などは、特に要注意です。家屋の解体は費用がかさみ、納得いく価格で土地を売却するには、3年くらいの長期戦で臨む必要があります。わが家の空き家対策をどうするか、今のうちから考えておきましょう。
■空き家対策特別措置法のポイント
<空き家の情報収集(2015年2月26日施行)>
・市町村に空き家への立ち入り調査を認める
・所有者の把握に固定資産税などの課税のための個人情報を活用する
・空き家の有効活用に向けてデータベースを整備する
<倒壊などの危険のある空き家に対する措置(2015年5月26日施行)>
・撤去や修繕、立木伐採などに関する指導・勧告・命令の権限を市町村に与える(従わない場合は強制撤去も可能に)
※週刊朝日MOOK「人生の再設計ガイド 70歳からのお金と暮らし」より抜粋