「金曜の夜、あなたは、恋に落ちる」

 なんて言われると、ドキっとする。そして、たいてい、

「出会う順番が違っただけ」

 なんて、言われると、

「そう、そう」

 などと、勝手に納得している。

 まるで、わたしが、かつて見ていた祖母の姿。

「ありえない」と、わかっていても、ドキドキする。

 そして、心のどこかで叫んでいる。

「こんな恋がしたかった」

「こんな頃もあったんだ」

 もっとも、隣を見れば、洗濯物の山。

「これをたたまなければ……」と、洗濯物をたたみながら、夜メロにはまっている。

 自分のラブシーンでもないのに、ワクワク、ドキドキしてしまう。

 自分に言われたセリフでもないし、自分が言ったセリフでもないのに、一言一句に感動している。

「ひと晩一緒だっただけで勘違いしないで」

 こんなセリフ言ってみたい。

「僕のことも見て」

 こんなセリフ言われてみたい。

 ひとりでドキドキ興奮している。

 そして、やっとわかった。メロドラマは、人を元気にさせるということ。