無差別殺傷事件が相次ぐ現代。不幸にも自分や家族にその刃が向けられるときがあるかもしれない。そんなとき、私たちはどう対処すればいいのか。被害にあわないための自衛策を専門家に聞いた。

 専門家が口をそろえて言うのが、「周りの様子に気を配る」ことだ。

「当たり前だよ」と思うかもしれないが、実践できていない人がほとんどだという。

 元警察官でクレーマー対応の助言をしている援川聡さんが力説する。

「ふだんから五感をフルに使っていれば周囲の異変や不審者に気がつくはずです。最近は音楽を聴いたり、携帯を見たりしながら歩いている人も多い。もってのほかです」

 危機管理コンサルタントの田中辰巳さんも、

「体力や逃げ足に自信のある人は別ですが、もし子連れなど、自分が『弱者』の立場のときは、街で悲鳴や怒鳴り声などが聞こえても、見に行くのではなく、すぐにその場を離れることです」

 と忠告する。

 そして、これまた言い尽くされていることではあるが、万一の備えだ。田中さんがすすめるのは、「唐辛子や胡椒を携帯する」ことだ。密封できる小さな袋に胡椒や唐辛子の粉を入れておき、襲われそうになったら、中身を顔に投げつけるのだという。

「催涙スプレーは購入する際に身分証明書が必要だったり、警察官に取り上げられることもある。唐辛子や胡椒なら手軽だし、ストーカーや痴漢対策にも有効です」(田中さん)

 ただし、使用する際には自分が風下にならないよう注意したい。

※週刊朝日 2012年7月13日号