スキマスイッチ(『スキマスイッチの本』より)
スキマスイッチ(『スキマスイッチの本』より)

 結成15周年、メジャーデビュー12年目のスキマスイッチ。
 多くの楽曲を世に放ち、幅広い層から支持される存在となったが、ここまでの道のりは決して平坦なものではなく、多くの困難にも直面してきている。
 2008年からのソロ活動を経て、09年から再びスキマスイッチとして歩み始めた彼らに、今だから話せる、当時の心境を語ってもらった。
(取材・田中隆信)

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――当時はアルバムを3枚リリースして“これから”っていう時だったのですごくビックリしました。ソロワークをすることで視野を拡げようとしたんでしょうか?

常田:いい意味で言うと、そうです。でも、逆に一度視野を狭めてみてもいいんじゃないかという気持ちもありました。自分のことを見て、そして相手のことを見るために。うん、実はそっちの方が強かったかも。

大橋:あの3部作を作った後、「さぁ、4枚目を作るぞ」っていう気持ちになるには結構、時間が必要だったと思います。2人の意見がぶつかり合い、化学反応が起こって作品は出来るんですけど、生まれた物だけを見ているとすごくいいんです。でも、その化学変化によって違う要素も出るんです。言葉は悪いけど、“残りカス”みたいなものが。それが蓄積していくと噛み合なくなってくるんですよ。だからソロをやって、自分の中に溜まった物を全部吐き出そうとしました。自分が思っている事や自分の中にあるものを正直に歌う。だから、ソロでの活動期間がなかったらそれ以降のスキマスイッチはなかったと思います。

常田:最初の頃は「曲が出来たらいいよね」「あんな曲作ろうよ」っていう初期衝動で作れるんですけど、それを続けていくと曲を作るのが当たり前になってしまって、“いい曲を書く”っていう初期衝動にヨコシマな物が絶対入ってくると思うんです。他の人たちもそうだと思うんですけど。

大橋:ボクシングに例えると、3部作を作った後、僕は一回ダウンしたんだと思うんですよ。ダウンして10カウントされている間にソロをやって、ソロ活動の期間を終えて、もう一度ファイティングポーズを取って試合を再開しました。どこまで持つか分かんないですけどね。でも、やめるのは簡単だなって思ったんです。ダウンした後、ファイティングポーズを取らなかったら楽になれるんです。でも、意地もあったし、“やれるところまでやってみよう”って。

――3部作の後に起こったのは“ダウン”だったんですか。

大橋:ちょっと足を滑らせて転んだんじゃなく、確実にダウンさせられてました(笑)。ダウンした瞬間、いろいろ考えましたよ。それこそ“やめるって簡単だな”とか。でも、“やりたかったことがまだまだたくさんあるな”って思ったんです。

常田:なんで、やめなかったんだろうね?

大橋:ある意味、勇気がなかったのかも。

常田:あぁ、やめる勇気の無さね。それはデカイな(笑)。

大橋:それがウチらの人間っぽいところなんです。「やめます」って言ってもいいんだけど、じゃあ、その後どうするんだ?って。

常田:言うのは簡単だけど、言った後の事を考えちゃうんだよね。

大橋:うん。“今までやってきたことはどうなっちゃうんだろう?”とか。

常田:「こんなことでやめたくない」っていう気持ちもあったかもしれないし。お互いに作品に対する満足度は高かったと思うんです。

大橋:そう! 音楽でしか繋がってなかった状態の中でダウンを取られたから、作品に対する満足度がなかったら簡単に崩壊していたと思う。

 今回のインタビューではほかにも、15年間の活動やこれからのことなどを語り尽くしてくれたスキマスイッチ。さらに詳しいインタビュー記事は『スキマスイッチの本』(朝日新聞出版)に収録されているので、ニューアルバム「スキマスイッチ」と合わせて楽しんでみてはいかがだろう。