セッションの模様。右から内沼さん、森本さん、高橋さん
セッションの模様。右から内沼さん、森本さん、高橋さん
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 2月18日から世界10都市で同時開催されていたソーシャル・メディア・ウィークは、22日に最終日となった。この日、東京・代官山のT-SITE GARDEN GALLERYを会場に開催されたセッションのひとつ「SNSは旅の体験と想い出をどう変えたか?どう伝えたか?」をのぞいてみた。

 会場のT-SITE GARDEN GALLERは、昨年オープンして、そのユニークな店づくりが話題となった代官山蔦屋書店と近接している。そいうった関連からか、このセッションのスピーカーのひとりは、同店で旅の本のブックコンシェルジュを勤める森本剛史さん。もうひとりが、旅のサイト『Voyagin』を運営するエンターテイメント・キック株式会社、代表取締役の高橋理志さん。そして司会進行を勤めるのは、numabooks代表でブック・コーディネイターの内沼晋太郎さんだ。

 まずは、自己紹介から始まったこのセッション。
 1970年代に「カニ族」スタイルで海外に出かけた森本さんと、1982年生まれの高橋さんとでは年代に大きな隔たりがある。森本さんの世代が海外に出始めた当時は、もちろんインターネットは存在せず、情報はノートに書きため、その内容を旅の途上で出会ったもの同士が交換しあっていく、といったコミュニケーションスタイル。
 日本との連絡も、「お金をかけずに、無事を確認する国際電話の利用法」や、「アメックス支店留め郵便」などの往時を知る世代には懐かしいテクニックが語られた。
 一方の高橋さんは、海外旅行をする年頃には、すでにネットが普及していた世代。
 「(海外旅行中に)facebookで写真あげればその瞬間に(日本にいる友達から)コメントがつく」ことは当たり前で、知らない街に行っても、スマホとGPSで「地元タクシー運転手に、そこ曲がって」と指示がだせるほど、テクノロジーは進化し、旅は便利になっている。
 このようにに、両者の通信環境は大きく異なるが、このセッションは世代間の違いをことさらに強調することなく進行する。

 高橋さんは、先輩世代が数ヶ月の放浪の中で得た、いわゆる「ガイドブック的でない」経験に共感するという。そういった、経験を自分たちもしたい。でも放浪する時間もなければ、リスクを検討している余裕もない。そこで、そういった体験をコーディネイトするサービスを始めたのだという。

 さらに、話題は旅の宿泊に関するものに。
ここでは高橋さんが、自宅の空き部屋や別荘を旅人に貸すという新しい、宿泊形態を紹介。自身もこれまで多くの人に宿泊先として自宅を開放してきたという。
 かつては、ドミトリーやユースホステルが貧乏旅行者の主な宿泊先だった。旅先で知り合った他人の家に宿泊するということは、よほどの信頼関係がないと難しかったが、ネット上での口コミが盛んになったことや、個人の情報発信が手軽になったこと、さらにはそれらの人を仲介する「airbnb」などのサイトできたことによって、見知らぬ他人同士がスペースを貸し借りすることができるようになった。
 と、話が単に「ネットが普及して便利になった」というあたりから進展しそうになったところでセッション終了。
 「ネット上での人のつながりが、新しい旅行サービスを生み出す。」というテーマでもう少し話が続けば面白かったのにと、時間切れが惜しまれるセッションであった。

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