新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に、WHOが「パンデミック」を認めた。終わりの見えない不安と恐怖はいつまで続くのか。AERA2020年3月23日号から。
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「新型コロナウイルスはパンデミックと言える」
3月11日、スイス・ジュネーブで行われた世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長の定例記者会見。ついにWHOが今回の新型コロナウイルスが世界的な大流行になっているとの認識を示し、各国により強い対策を講じるよう促した。
感染者が確認された国と地域は13日までに113となり、感染者数も世界で12万5千人に達した。国内での状況はどう受け止めればよいのか。
10日、参議院予算委員会の公聴会では、政府の専門家会議で副座長を務める尾身茂・地域医療機能推進機構理事長が国内の状況についてこう述べた。
「現時点においては、感染者の数は増加傾向にあります。狭い空間に多くの人が集まる、一定条件を満たす場所においてクラスター感染が全国で相次いで報告されています」
尾身氏はその場で厳しい見立てを披露するかと思われたが、実際はそうではなかった。今後も感染者は増加の傾向が予想され警戒は緩められないとしたが、こんな認識を示したのだ。
「爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえている」
本当にそう言えるのか。NHKのホームページでは、国内の感染状況(NHKまとめ)が一目でわかるようになっている。12日午前の段階で、クルーズ船やチャーター機による帰国者を除外(ただし、帰宅後の感染確認は含む)した感染者数は624人。1日ごとの新規の感染者数をみると、2月中旬から急激に増え始めて3月に入ると6日以降にいったん減り始めたが、尾身氏が「持ちこたえている」と述べた10日には過去最高の59人に達した。
実際に持ちこたえているかどうかは、専門家にもわからないのが現実だ。尾身氏とともに10日の公聴会に出席した医療ガバナンス研究所(東京)の上昌広理事長はこう指摘する。