家族や友人など周囲に相談させないのは、他人に話すと止められるから。「あなた自身が成長したらその時は自由にしゃべってもいいけど、今は邪魔が入らないように内緒にしておこうね」などと諭してくるという。

「不審に思ったら、インターネットで団体の背景を調べるのも有効です」(岩野さん)

 日本脱カルト協会では「カルト対策学校ネットワーク」をつくり、全国約300の大学とメーリングリストで情報のやりとりを行っている。例えば、学生が大学の学生課に相談に行くと、同ネットワークに連絡がきて、団体についての情報を提供する仕組みができている。また岩野さん自身、「SSC宗教問題相談センター」というサイトを立ち上げ、カルトをはじめ宗教に関する様々なトラブルや悩みについて相談を受け付けている。岩野さんは言う。

「宗教だから新興宗教だから、または異端だから悪いのではない。正体を隠して近づき、独善的な教義に基づいた狭い認識を若者たちに与え、その結果、人に危害を加えたり金銭被害を与えたりするようになる。カルトは人に危害を加える存在。そのことをしっかり知ってほしい」

(編集部・野村昌二)

AERA 2020年3月23日号より抜粋

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