オウム真理教の後継団体の「保有資産」と「信者数」の推移。公安調査庁のデータをもとに作成(AERA 2020年3月23日号より)
オウム真理教の後継団体の「保有資産」と「信者数」の推移。公安調査庁のデータをもとに作成(AERA 2020年3月23日号より)
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2019年1月、アレフ名古屋道場の立ち入り検査を行う公安調査庁の職員。団体規制法に基づく検査だが、松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚の写真や説法を収録した教材を確認した (c)朝日新聞社
2019年1月、アレフ名古屋道場の立ち入り検査を行う公安調査庁の職員。団体規制法に基づく検査だが、松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚の写真や説法を収録した教材を確認した (c)朝日新聞社

 新生活がスタートし、出会いも多くなる4月、若者にとってはカルト教団に狙われるやすい時期でもある。AERA2020年3月23日号では、カルトに狙われやすい若者の特徴、見分けるポイントを紹介する。

【写真】アレフ信者が書店で声かけして勧誘する現場

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 カルトは人の心の隙間につけ込む。引き込まれるのは、どんな若者たちか。

「まじめで正義感の強いタイプもいますし、スポーツや音楽などを楽しむ活発な学生もいます。共通するのは、青年期特有の悩みを持つこと。悩みに答えを示してくれる集団に学生は居心地の良さを感じる」

 と話すのは、大阪大学の太刀掛(たちかけ)俊之教授(応用心理学)だ。

 同大学は、オウム真理教の「科学技術省」トップだった故・村井秀夫元幹部が通っていたことでも知られた。その後の学内調査で、学生の中に別のカルト信者が複数いることがわかり、2006年に新入生を対象とした必修の特別講義「大学生活環境論」を新設した。今も例年5月、新入生約3千数百人への講義で注意喚起を行っている。

 同大学はカルト対策として、勧誘の手口などを紹介した動画を4本つくり、学食や学内の連絡バス停などで流し注意を促している。動画は「大阪大学 カルト」で検索すれば、YouTubeで誰でも視聴可能だ。

「大切なのは、カルトに勧誘されないための予防教育。取り込まれないためにはどうすればいいか、教育で意識を底上げする必要がある」(太刀掛教授)

 4月になればひとり暮らしの学生や社会人が増え、カルトに狙われやすい時期でもある。

危険な宗教や教義を見分けるポイントはあるのか。オウム真理教信者の脱会支援を目的に設立された「日本脱カルト協会」理事の岩野孝之さん(40)は、次の2点を挙げる。

(1)無償の愛の提供

(2)家族や友人など周囲に入信したことを隠させる

「まず、カルトはとにかく無償の愛を注いできて、徹底的にやさしくしてくれる。すると、『これが神様の愛か』と感動して入信することになります」

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