高校の同級生を30年もの長きにわたって想い続ける──。映画「弥生、三月 ─君を愛した30年─」に出演した波瑠と成田凌が、究極の愛について語り合った。どうも男女の間には、微妙な差があるようで……。
――「弥生、三月」は、高校の同級生2人の30年間にわたる歳月を、3月に起きたエピソードだけで綴る。「家政婦のミタ」などを手掛けた遊川和彦監督のもと、初共演の二人が10代から50代までを演じる。
波瑠:成田さんとの初顔合わせは、リハーサルだったと思います。まだまだ本読みの段階でしたが、遊川さんの演出で成田さんが役に入っていく様子を見たことは、いい経験でしたね。
成田:監督はリハーサル時間も贅沢に使っていました。
波瑠:私は走るシーンが多いんです。バスを追いかけるシーンでは、最初、東宝の敷地内で車を走らせて。舞台の仙台でも何回もリハーサルを繰り返しました。普段の撮影で走る比ではありません。一つのシーンでどのくらい走ったかなんて、覚えていないくらいです。
成田:僕はサッカー選手役で、サッカーの練習のために日帰りで仙台に行ったんです。仙台大学のサッカー部の選手と本番をやるので、一緒に練習をやらせたかったみたいです。
――30年の間には東日本大震災も起きた。様々な経験を積んだ二人が紡ぐ物語は、究極のラブストーリーとも言える。
成田:なかなか一歩、勇気が出ないで踏みとどまってしまう男の役で、30年間、ずっとあなたのことが好きでした、と。でもそれは常にマックスの状態ではなく、他にいろんなやりたいこともあったりして……。男と女はタイミングなんでしょうね。(50代まで演じたが)出ている側の僕らでもわからない気持ちもあるのかなあ。これからわかっていくのかな、と。
波瑠:女性からすると、ここまでロマンチックでドラマチックだと、ちょっと恥ずかしい(笑)。まっすぐ観られない、みたいな気持ちになります。でも女性のほうが男性よりも時間の流れにシビアなので、30年とかやめてください(笑)。
成田:(笑)
(構成/本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2020年3月27日号