新型コロナウイルスの影響から急速に導入が進むテレワーク。社員の生産性が上がっても、コミュニケーション不足やメンタル面での課題が見えてきた。AERA2020年3月23日号は、企業がどんな対策を講じているのかを追った。
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事態は長期化が予想され、先が見通せない。となると心配なのは、孤立化による従業員のメンタルだ。人材マッチングサービスのクラウドワークス(東京都渋谷区)は、テレワークをすでに数年運用している企業を招いた勉強会を開催した。カギは、いかにバーチャル上で雑談が生まれるオフィスを“再現”できるか、だ。
数年前からテレワークを導入しているというレジャーのアソビュー(東京都渋谷区)は、人事や総務などのコーポレート部門など定型化している業務では、テレワーク導入で業務に集中でき、生産性が高まった。一方で、企画職やマーケティング職などディスカッションが必要な部門では生産性が落ちてしまった。
そこで、マーケティング部門などが活用しているのが「ディスコード」というボイスチャットツールだ。ゲーム実況に使用されることが多く、チャットと通話が可能。リモート中でもいつでも気軽に“話しかける”ことができる。グループごとの会議室のほか「休憩室」「喫煙所」などの仮想空間も設け、テレワーク中も雑談ができるようになった。アソビューの宮本武尊さんは、こう言う。
「文字チャットだけだと、他の人も見ている中で『ちょっといいですか』と声をかけにくい。オフィス内のように、ちょっとした会話が生まれやすくなる環境をつくりたい」
また、求人メディア運営のアトラエ(東京都港区)では、テレワークをする人が疎外感を覚えないよう、社内にカメラを設置し、オフィスの映像をテレワーク中の人が見られるようにした。社員同士で定期的に褒めたり、感謝を伝えることを仕組みとして実施。同社の森山雄貴さんは、こう指摘する。
「リモートワークをする人のやりがいや感情が損なわれていないか、どこまで注意を払えるか。タスクの実行は早くても、組織としての一体化が失われては意味がない。いかにチューニングするかが重要です」