「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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先日、ユーチューバーデビューしました……というのは冗談で、ローソンとして初めてオンライン記者会見を実施しました。新型コロナウイルスのこともあり、会見を中止することも考えましたが、思い切ってWeb会見とし、さらにYouTube上で中継もしました。
普段の会見は見知った記者の方も多く、緊張はするものの、どこか安心感があります。優しい笑顔で見てくださる方もいれば、鋭い指摘をされる方もいる。退屈そうに聞いている様子やぐっと身を乗り出す姿から、注目されているポイントがわかり、加盟店の方に伝えるときにも参考にしていました。
それがオンラインでは目の前に誰もいなくて、手応えがまったくありません。笑顔で登場したものの、いったい誰に笑っているんだろう?と、ふと我に返る。いざ会見が始まると違和感はなくなりましたが、無人の会場で一生懸命話をするのは初めてのことでした。
質問もオンラインで受け付けました。時間内に答えられる数は同じでも、いろんな質問が可視化されました。会見後には、いただいた全ての質問に回答することができました。今回は一般公開にも踏み切り、密度の濃い会見になりました。
ローソンでは、会見以外でも、デジタル改革を進めています。年が明けてすぐに、本部社員のパソコンにリモートワークのためのソフトを導入。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、社内のほとんどの会議や打ち合わせを、リモートに切り替えることになりました。
やり始めると、意外と不便はないのです。売り上げへの影響を含め、リモートの功罪はまだ検証できていません。ですが、とことんデジタル化を追求して、新しい働き方でチャレンジにつなげていきたいと思っています。
※AERA 2020年3月30日号